ジンフィズとトムコリンズの違い|発祥、グラス、レシピが違う?
ジンを使ったカクテルは数多くありますが、中でも「ジン・フィズ」と「トム・コリンズ」と呼ばれるカクテルがあります。
実はこれらのカクテルはレシピが同じで、
(レシピ)
・ドライ・ジン 45ml
・砂糖 2tsp
・レモンジュース 15ml
以上をシェイクしたものを、氷を入れたグラスに注ぎ、残りをソーダで満たす。
となっています。
レシピが同じなら、なんだかまったく同じカクテルに思えますよね。
しかしこの2つのカクテルは、「元々は」歴史も作り方も全くの別物ですので知っておくと役に立つかもしれません。
ただし、「元々は」なのでご注意ください。
こちらではそんなジン・フィズとトム・コリンズの違いをご紹介していきます。
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発祥の違い
これら2つのカクテルは、まず発祥が違います。
「ジンフィズ」はアメリカで、「トム・コリンズ」はイギリスで生まれました。
「ジンフィズ」は1888年、アメリカのニューオーリンズにある「インペリアル・キャビネット・サロン」のオーナーであるヘンリー・ラモスが考案。
「トム・コリンズ」は19世紀半ば、イギリスのロンドンにある「リマーズ・コーナー」のバーテンダーであるジョン・コリンズが考案。
アメリカでドライジンを甘いレモンスカッシュで割っていたのを「ジン・フィズ」、イギリスで甘いジンをレモンとソーダで割っていたのを「トム・コリンズ」と呼んでいました。
ジン・フィズとトム・コリンズは違う年に、違う国で、違うレシピとして生まれたのです。
グラスの違い
次にカクテルを注ぐグラスも違います。
トム・コリンズの場合、「コリンズ・グラス」と言う背が高く細いグラスを使いますが、ジン・フィズの場合は普通のタンブラーを使います。
レシピによっては、ジンフィズはジン45mlにレモンジュースが15mlですが、トム・コリンズはグラスが大きい分ジン60mlにレモンジュースが20mlと多めになっていることもあります。
ジンの違い
そして先程もご紹介しましたが、使うジンの種類が違います。
トム・コリンズの場合は最初から甘い風味の「オールド・トム・ジン」を使用しますが、ジン・フィズの場合は現在主流のドライジンをベースに使用します。
この「オールド・トム・ジン」はジンの製造過程で砂糖を加えるため、ジンそのものが甘いのです。
つまりジン・フィズは砂糖で甘みを加え、トム・コリンズは「オールド・トム・ジン」自体の味で甘み付けている、というわけです。
(元々のトム・コリンズのレシピ)
・オールド・トム・ジン45ml
・レモンジュース15ml
以上を、氷を入れた「コリンズ・グラス」に注ぎ、残りをソーダで満たす。
しかし、時代がドライジン主流になり「オールド・トム・ジン」がトムコリンズを作るとき以外にほぼ使用されなくなってくると、「ドライジンをベースに作るトム・コリンズ」が主流になってきます。
ドライジンには甘みがないため、トムコリンズを作る場合甘みを加えるために砂糖を入れます。
こうなると、「元々のジンフィズのレシピ」=「ドライジンで作るトムコリンズのレシピ」となります。
現在2つのカクテルのレシピが全く一緒で、入れるグラスが違うだけというのは、こういった事情からです。
なので、たまにオールド・トム・ジンを使っているのにさらに砂糖を入れるトム・コリンズのレシピを見かけますが、これは間違いです。
元々甘いジンにさらに砂糖を加えると、甘くなりすぎてしまうからです。
ちなみに余談ですが、カクテルにはそれぞれカクテル言葉というものがあり、それも違います。
トムコリンズのカクテル言葉は「親友」、ジンフィズのカクテル言葉は「あるがままに」となっています。
現在「○○コリンズ」は飲み方を指す
ちなみに現在では、「スピリッツ+レモンジュース+砂糖+ソーダ」でコリンズグラスに注いだカクテルは全て「○○・コリンズ」と呼ばれます。
例
ウイスキーのコリンズは「ジョン・コリンズ」
ブランデーのコリンズは「ピエール・コリンズ」
ラムのコリンズは「ペドロ・コリンズ」
さらに使うウイスキーでさらに以下のように細かく呼ばれたりもします。
スコッチ・ウイスキーだと「サンディ・コリンズ」
バーボン・ウイスキーだと「カーネル・コリンズ」
アイリッシュ・ウイスキーだと「マイク・コリンズ」
このようにコリンズという言葉はカクテルの名前を越えて、現在では飲み方自体を指すようになりました。
まとめ
ジンフィズとトムコリンズの違いをまとめると、以下の一覧表のようになります。
ジン・フィズ | トム・コリンズ | |
---|---|---|
発祥の国 | アメリカ | イギリス |
グラス | 普通のタンブラー |
コリンズ・グラス |
ジン | ドライジン |
オールド・トム・ジン |
カクテル言葉 | 「あるがままに」 | 「親友」 |
生まれた年 | 1888年 | 19世紀半ば |
生まれた店 | ニューオーリンズにある「インペリアル・キャビネット・サロン」 | ロンドンにある「リマーズ・コーナー」 |
発案者 | ヘンリー・ラモス | ジョン・コリンズ |
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